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軽くてかさばらないもの

 軽くてかさばらないものが好きだ。身に着けるものも、持ちものも、気持ちも。 
 軽くてかさばらないものを見つけるとうれしくて、わくわくして、自分のものにしたくてたまらなくなる。
 色も生地も風のような、ふわりと纏うストール。
 くしゅくしゅにしても皺にならないシルクのカーディガン。
 かぶらないときはたたんでしまっておける帽子。
 手に取ったとき拍子抜けするくらい軽々と持ち上がるバッグ。
 ポーチにおさまってしまうダウンジャケット。
 脱ぐとぺしゃんこになるやわらかいスウェードのブーツ。
 まるで履いていないみたいなサンダル。
 薄くて軽くてすぐに乾くガーゼタオル。
 ミニチュアチューブのハンドクリーム。
 つけ心地が水のように軽いファンデーション。
 簡単に乾かしただけで軽快な動きの出るレイヤードヘア。
 持ち歩いても重くない240mlボトルのミネラルウォーター。
 向こうが透けて見えるほど薄手のカシミアニット。
 小さくてさりげないけれどきらりと光る細い鎖のネックレス。
 くるくるとまるめたら荷物の隙間に入ってしまうノースリーヴのワンピース。
 旅をするときは、軽くてかさばらないものをたくさん鞄に詰めていく。軽くてかさばらないものをいくつもいくつも並べて、いろいろな組み合わせをするのが好きだ。いつでも、どこにでも行けて、どんな気候や体調にも対応できると思うと、とても安心する。
 どうしてこんなに軽くてかさばらないものに惹かれるのか、自分でもわからない。それらにはどこか、自由の匂いがするからだろうか。

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