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梅田みか オフィシャルサイト
Essay エッセイ
道案内
歩いていたら、道を訊かれた。
方向音痴を自覚しているわたしは、身構える。
相手の言葉や、差し出された住所や地図に集中する。
その行き先は、わたしの知っているところか。
行ったことがなくても、確実にわかる場所か。
そこまでの道順を整理して、うまく伝えられるか。
方向を勘違いしてはいないか。
頭の中でぐるぐるぐるぐる、考える。
わかりません、と言って通り過ぎることもできるのに。
苦手なくせに、なぜか挑戦したくなってしまうことのひとつ。
さっとわかりやすく、道案内できたときは、とても嬉しい。
自分がひとつ、大人になれたような気がする。
ありがとう、と言って、見知らぬ人は歩き出す。
わたしは急に気弱になって、祈る。
その人が、わたしに道を訊いたせいで迷ったり遠まわりしたりしませんように。
歩いていると、道を訊かれる。
ここのところ、立て続けに。
Photo by MUKAI MUNETOSHI
Tags:
挑戦, 祈る, 道, 道案内
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